年長者が夢を持ち、チャレンジしていくことが大切

 検索手段の活用方法や経験値において、つるのさんの世代と若年層との間には隔たりがある。そうした世代間のギャップを踏まえたうえで、年長者が若い人との関係性を円滑に築くために留意すべき点は何だろうか?

つるの 僕たちの世代が忘れてはいけないのは、「社会に出たばかりの彼ら彼女たちが、コロナ禍で学生時代を過ごしてきた」という背景を理解してあげること。授業や講義は、ほぼオンライン、通学すらもままならず、規制だらけの時期を過ごしたので、他人とのコミュニケーションのとり方がわからないという人も少なくないでしょう。僕ら世代は、その声に耳を傾けることが必要で、「(コロナ禍という)逆境の中で、私は○○な経験をしました」「□□の未来が待っていると思います」といった意見を出しやすい環境を作り、僕らが思いつかないようなアイデアをバンバン提示してもらう。人生の先輩は、そんな後輩たちと接して、自分のマインドをリセットしたり、アップデートしたりすることも大切でしょう。

 豊かな情報を持ち、素晴らしい才能と可能性を秘めた若者が道を切り拓けるよう、僕たちの世代がうまく導いてあげたいですね。

 価値観も働き方も変化している昨今、若年層との関係を構築するには、「理解」と「対話」が不可欠だ。経験に基づいた指導だけではなく、相手の視点や意見に耳を傾ける姿勢が、信頼と成長の土台となっていく。世代を超えて、ともによりよい成果を生み出すためには、柔軟さと敬意を持った関わり合いが求められる。

つるの 「大人って素敵だなぁ」「年齢を重ねるのってカッコいいなぁ」と思ってもらえる姿を、僕らが若い人たちに提示できればいいですね。時には失敗した自分の姿を見せることによって、彼ら彼女たちも失敗を恐れなくなる。「失敗してもいいよ」――そんな言葉をかけられたら、すごく気がラクになりますし、そう言ってくれる先輩が身近にいると安心できる。だって、完璧な人なんて面白くないじゃないですか。僕たち世代もいろいろチャレンジして、失敗しなければダメ。“頑張る”という表現が合っているかわからないけど、何かに挑戦したり、失敗して落ち込んだり……ひたむきな姿をどんどん見せればいい。若い人たちに「夢や目標を!」という前に、僕たち自身が夢を持ち、いくつになっても果敢に攻めていく――そんな姿勢が、これからの社会を担う世代に良い影響を与えていくと思います。