従業員の68%が女性
家族型発想が会社には極めて有効
本田 パタゴニアは従業員の約7割が女性だそうですが、どうして女性が多いのですか?
藤倉 女性は細かい仕事に向いているから、という話ではなく、子どもの頃、家に帰ってきて真っ先に足を運んだ場所はどこだか覚えていますか。キッチンだと思うんです。冷蔵庫が目当てのひとつなんですが、そこにはお母さんがいて、何も聞かれていないのに、いろいろ話をして。そういう存在や場所があると、社員の意識が変わるんです。Involvementじゃなくて、Belongになる。それに、女性はコミュニケーション能力が高く、モノを大事にしたり、生活の知恵を生かすなど女性ならではの感覚がある。だから女性の比率は絶対に減らさないんです。
本田 昔からそうなんですか?
藤倉 昔からそうです。女性が退職する理由っていうのはやっぱり出産じゃないですか。だったら退職しなくてもいいようにすればいいと思ったわけですね。もちろんやる以上は福利構成上ベストな形を取るように。
本田 それは無料なんですか?
藤倉 有料ですけど、他と比べたらずっと安いです。そもそもアメリカは託児料が高い。普通に週3回で1ヵ月500ドル程度だったら、社内に作ってしまったらどうか、と。そこで、会議室と経理部門の入った建物の1階に、大規模な幼稚園と託児所を作りました。うちの会社のお母さん社員は、子どもがお腹を空かせたら、どんなことがあっても最優先で駆けつけ、母乳をあげに行けるんです。仕事が終わったら、子どもをデイケアでピックアップして家に帰る。これが我々のライフスタイル。これだったら絶対辞めないですよね。