買い物は即決できない超慎重派
不器用で口下手な役柄に共感も

リア王Bunkamura Production 2025/DISCOVER WORLD THEATRE vol.15 『リア王』 NINAGAWA MEMORIAL
【東京公演】10月9日(木)~11月3日(月・祝)THEATER MILANO-Za
【大阪公演】11月8日(土)~16日(日)SkyシアターMBS
シェイクスピア四大悲劇の一つ『リア王』を、気鋭のイギリス人演出家フィリップ・ブリーンが上演台本から手がけ、現代的な再翻訳版として上演。大竹しのぶが初の成人男性役リア王を演じる。生田さんは王の三女で、実直ゆえに王に勘当されてしまうコーディリア役。
原作:ウィリアム・シェイクスピア 上演台本・演出:フィリップ・ブリーン 出演:大竹しのぶ、宮沢りえ、成田 凌、生田絵梨花、鈴鹿央士、横田栄司、安藤玉恵、勝村政信、山崎 一ほか 企画・製作:Bunkamura

 稽古前の現在はコーディリアを中心に台本を読み始めているところ。

「台本が届いて読んでみましたが、やっぱりシェイクスピアの作品は詩的で美しい分、難解な部分が多いです。『これってどういう意味なんだろう?』と考え始めると、普段の何倍も読むのに時間がかかってしまいます。このセリフをどう自分の心と体に落とし込んでいくのか。本当に未知の領域です。リア王が娘たちに、『自分に対する愛を述べてくれ。それによって、褒美を与えよう』と言うと、お姉さんたちは言葉巧みに愛を伝えるんですけど、コーディリアは何も言わない。それって愛がないということではなく、本当に父親であるリア王を大事に思っているからこそ言葉にできない、不器用さの表れなのではないのかな、と。私も言葉にする難しさを日々、感じています。『もうちょっと、上手く喋れたらいいのに』と思うことがよくあるので、自分の感覚と紐づけながら演じられたらと思っています」

 愛や感謝を簡単には口に出せないコーディリア。そこに大いに共感すると話す。

「私も実はなかなか素直に伝えられないタイプです。それでも節目節目で、ちゃんとしたいと思って、急に感謝を伝え始めたりするので、相手を戸惑わせてしまったり。お手紙を書くこともあるんですけれど、器用ではないので、とても時間がかかります。さっと書けたらかっこいいんですけど、何日も悩んで、一度、書いたものを文豪みたいに投げ捨てたり(笑)。本当に要領は良くないです」

 ちなみに買い物にも時間がかかるタイプなのだそう。

「基本的にちょっと慎重すぎるところがあるんです。だから即決ができなくて、誰かのプレゼントを選ぶのも、サクッとはいかないです。1日がかりで、探しに行く感覚です。多分、相手にはどれぐらい時間をかけて選んだ贈り物なのかは全く伝わっていないと思うので、自分だけ、プレゼントへの思い入れが強くなります(笑)」

 歌やダンスを華麗に披露し、多才な印象を与えるが、実は真面目で実直、努力家タイプ。

「『なんでこうもうまく進めないんだろう。ずっと同じところで行き詰まっちゃうのはなぜなんだろう』とふとネガティブな思考に陥ることもあります。そんな時、『それだからいい。それが生田絵梨花なんだ』と周りの人から声をかけてもらえると、安心するし、間違っていなかったんだと思えます。もっと颯爽と歩いていけたらいいのに、と自分で自分の一部を排除してしまおうとしていたけれど、そういう目で見つめてくれている人がいる。『自分ではネガティブに思っていたところも自分の一部なんだ。ありのままで進んでいいんだ』と思えて、心強いです」