「毒親=母親」という大いなる勘違い、子どもを潰す父親の「信じがたい頭の中身」妬みの感情は男親のほうがひょっとしたら女親より怖いものである可能性もあります。男性に妬みの感情が強いのは、企業内の人間関係において顕著に表れています(写真はイメージです) Photo:PIXTA

すっかり定着した感のある「毒親」。過度の干渉で支配しようとするなど子供の成長にとって「毒」となる振る舞いをしてしまう親のことで、多くのドラマや映画などのテーマになっています。「毒親」というと、母親をイメージしがちですが、最近の研究では、男性にこそ妬みは強く存在します。そして、自分の子ども才能の芽を摘んでしまうこともよくあるのです。そこで今回は、脳科学者としてだけでなく、様々なメディアでコメンテイターとしても活躍している中野信子さんの最新刊『なぜ、愛は毒に変わってしまうのか』より、「毒親」といわれる父親に迫ります。

実は、父親のほうが「妬み」の感情が強い

 近年の研究によれば、実は妬みの感情は男性にこそ強く存在します。

 男性、つまり父親が、自分の子に才能の片鱗が見えたときに「この子はすごいぞ」「ここをのばしてあげよう」となればいいのですが、どうも才能の芽があると感じられたとき、それを早いうちに摘んでしまう人がいるようなのです。

 それも、無意識の場合が多いのでよけいにたちが悪いのです。

 父親にとって、妻を奪い合う最大のライバルは息子であるので仕方のないことかもしれません。

 妬みの感情は男親のほうがひょっとしたら女親より怖いものである可能性もあります。男性に妬みの感情が強いのは、企業内の人間関係において顕著に表れているでしょう。

 妬みの強い男性は、見どころのある後輩だと思ったら、自分の下に付けて何とかコントロールしようとしたり、もしくは自己評価を低める方向に心理的に操作したりして芽が出ないようにする。