唯一、気になったのは、マンホールや路面の継ぎ目を跨いだ直後に現れる微かな余韻だ。とくに後輪側で伸びが一拍遅れ、上下動の「オマケの一揺れ」を許してしまう瞬間がある。意地悪く言うと「いなし」が甘い。静けさと扱いやすさがとてもよくできているだけに、このオマケが気になってしまう。



加速もよく反応も素直、高速道路も運転しやすい
調布インターを左に入る。ヘアピンのランプを気持ちよく駆け上がり、狭く設計の悪い料金所を過ぎてから本線に入る。軽く踏むだけでスッと合流。直進の落ち着きは素直で静か。制限速度内なら普通の音量で会話ができる。風切り音とロードノイズはしっかりと抑え込まれている。この辺りは業界標準。ペダルとステアリングのキャリブレーションはすこぶる穏当で、距離が伸びるほどに運転のラクさが身に沁みてくる。
だがしかし。橋梁の伸縮継手が続く区間に入ると、先の“いなし問題”が再び顔を出す。単発なら問題ないのだが、コトンコトンと入力が続くと、上下動の尾が薄く残ってしまう。高級車が一発で収める“あの感じ”には、残念ながら「もう一歩」というところだ。当日は3名乗車でキャディバッグが2セット、旅行カバンが3つ、ワインが3本。合計で約240kgが載っている。“跳ねる”重さではない。ステアリングの初期応答とセルフセンタリングは自然でなじみが良い。高速巡航にはぴったりだ。