もっと具体的に言えば、漢字か片仮名の語を探します。キーワードは、単独で意味を持つ語ですから、漢字か片仮名で書かれているからです。

 ここから考えられるのは、大事な言葉が漢字や片仮名で書かれて、それほど大事でない言葉が平仮名で書かれていると、効率よく読める、読みやすいということです。したがって、メールの場合も、言葉の重要度を示すのに、漢字・片仮名と平仮名とで使い分ければ、もっと読みやすくなるはずです。

 そのことを確認しておきましょう。例文を挙げます。

今日はとても涼しい。
課長、係長、それに私が会議に出席した。

 これらの文で、「とても」や「それに」は省略しても大体の意味が通じます。「今日」や「涼しい」は省略すると、意味が通じません。「課長」や「係長」を省略すると、事実に反してしまいます。

 このことから、「とても」や「それに」は、他の語句に比べて意味が軽い、つまり、他よりも大事でない言葉と考えます。だから、平仮名で書かれているのです。次の例文ではどうでしょう。

請求書は机の上にある。
店舗を増やすことは了承された。

 上記の「ある」「こと」も他の言葉と比較すると、意味が単純で軽そうです。「ある・する・いる」、「ください・いただく・ありがとう」や「こと・もの」など一般に使用頻度が高い語は、平仮名で書かれる傾向があります。その理由は、よく使われるけれど意味が単純で、その文の中での重みが薄いからだと考えると納得できます。

「ありがとう」をより丁寧に
するなら「有難う」ではない

 読みやすいメールのために、漢字と仮名の使い方で注意すべきことを2点あげました。1つは、意味のまとまり、すなわち言葉の切れ目がすぐに見てとれることです。2つめは、意味の軽重に注意して、基本法則では漢字で書く部分でも、意味が軽いときは平仮名を使うとよいということです。

 最後に、逆転の発想による例を1つ紹介します。先に「いただく・ありがとう」は平仮名で書かれることが多いと言いました。次のように書くのは普通です。

結構な品をいただきましてありがとうございました。

 しかし、品をもらった相手によっては、「いただく」「ありがとう」の意味を重く伝えたい場合があります。そんなとき、

結構な品を頂きまして有難うございました。

と漢字にするのも一つの方法ですが、あまり見かけない不自然さがあります。そこで、

結構な品を頂戴しまして感謝申し上げます。

と、漢字を使って自然な言葉に変えるのです。