レストランの料理もすべて「預製菜」?

 しかし、である。

 中国では昔から、爆発的な注目を集め、市場が広がった流行商品には有象無象の業者がたかるという傾向がある。新興業界であればあるほど業界ルールなんてないに等しく、当局の規制も追いつかない。そこに、何はともあれ、とにかくブームに乗ってお金を儲けたいという業者が乱入してくるのだ。

 預製菜にも、材料の選別や技量、あるいは味付けの甲乙だけではなく、その生産環境の衛生状況が必ずしも褒められない中で生産された製品が出回るようになった。「料理を作って売ればいいだけ。レストランのように店舗や従業員への支払いも必要ない」などという考えで、粗製濫造された商品も並ぶようになった。そして、それを店頭で客に提供して儲けるレストランも現れた。そこから、一部の消費者たちの間には預製菜という商品自体の評価が微妙に変化し始めた。

 そこに9月初め、インフルエンサーの羅永浩さんが、「西貝レストランの料理は、今じゃどれもこれも預製菜なのに、値段だけはバカ高い」とネットで呟いて、大騒ぎになった。

西貝レストラン(同社ホームページより)西貝レストラン(同社ホームページより)

 西貝レストランというのは、内蒙古自治区発のレストランで、2000年代に全国展開するようになったレストラングループである。チェーン展開初期は、山西省から内蒙古にまたがる地域で収穫されるオーツ麦で作った麺食をウリにしていたが、次第に同地域で食される「西北料理」の店として人気となった。

 だが、その人気店が「預製菜を温めているだけ」と言われ、経営者は激怒。「預製菜なんか使っていない。告訴してやる」と激しい論戦を巻き起こした。