総合演出の思考回路を知るために、辻さんが毎朝現場に潜入

 実験対象となったのは、水卜麻美アナウンサーが日々の生活に役立つ情報を紹介する人気コーナー「?よミトく!」だ。

企画支援AIエージェントの実験の場となったのは、ZIP!の中の「?よミトく!」というコーナー 提供:日本テレビ企画支援AIエージェントの実験の場となったのは、ZIP!の中の「?よミトく!」というコーナー 提供:日本テレビ 拡大画像表示

 最初の1カ月、辻さんは毎朝ネタ当て会議に潜入した。忙しい現場に特別なことをさせずとも、飛び交う音声データをもとに、八重沢さんやディレクター陣の判断軸をAIに学習させる作戦だ。

 ただこのとき、八重沢さんは一つだけ意識していたことがあった。

「企画を決めるときって、最後は何となくピンとくる、こないみたいなのがあるじゃないですか。でも、それではAIはピンとこない。だから、企画を採用する理由、却下する理由を、その背景も含めて通常より詳しく説明するようにしました」

 辻さんは、集めた音声データをGoogleの生成AI「Gemini」で分析し、八重沢さんの判断基準を整理。それをAIエージェントに教え込むことで、まるで八重沢さんかのようなアドバイスができる仕組みを構築していった。

 作業は、想像よりも早く完了した。