メーカー荷主は子会社
吸収による内製志向も
荷主企業が物流子会社を本体に吸収・統合する内製化の動きも増えている。エステーは今年7月に物流業務などを担っていたエステービジネスサポートをエステー本体に吸収したほか、タカラスタンダードもタカラ物流サービスを解散し、物流業務を本体に統合した。
さらにガラス製造最大手のAGCは、100%出資子会社であるAGCロジスティクスを来年1月に本体に吸収合併することを発表。同社はその狙いについて「物流が事業競争力を左右する重要な要素となる中、効率的で持続可能な物流体制の構築が急務。AGCロジスティクスを本体に組み込むことで、国内物流のさらなる効率化と物流人材の育成・強化を加速する」と説明しており、本体物流部門を強化していく方針を示している。
来年4月からの荷主規制
強化が再編のトリガーに
こうした物流子会社を巡る再編が加速する背景には、来年4月に一部施行される改正物流法の荷主への規制強化があると言われる。
全国3000社超の大手荷主を対象に「物流統括管理者(CLO)」の選任が義務化されるほか、中長期での物流改善計画の提出が義務付けられることを受け、荷主は自社の物流における持続可能性を確保するための取り組みがこれまで以上に求められる。その一環から、物流子会社を3PLなどに売却することで、3PLをパートナーに据えて自社の物流に対するコントロールを強化する外注化の動きが加速していると考えられる。
また、内製化については、CLOの選任義務化を控え、これまで本体物流部門と子会社に分かれていた物流管理機能を一本化することで、より本体で集中管理できる体制を構築しようとする動きがあるようだ。関係者からは「外注化と内製化の動きとも、自社のサプライチェーンを強化することが目的。背景には改正物流法による荷主への規制強化があることは間違いない」との指摘がある。