25%の日本人は「中国ブランドダメ」だが……

F:そこまでお考えとは……驚きました。しかしその王総裁の熱い思いとは裏腹に、日本には「中華ブランド」という先入観の障壁がある。中国や韓国のクルマを記事で褒めると凄いんですよ。間違いなく炎上する。前にヒョンデのクルマをベタ褒めしたら「フェル在日韓国人説」まで流れました。今回、もしシーライオン7を褒めたら「在日中国人説」が流れるかもしれません(苦笑)。

東:様々なアプローチで調査しているのですが、結論としておよそ25%は「何が来ようが中国はダメ」という層がいます。性能や価格に関わらず、入口で「中国ダメ」と弾かれてしまう。現実としてこれが立ちはだかっている。

F:4分の1の人は「何が来ようが中華製はダメ」、ですか。こうなるともう身も蓋もないというか……。

 しかし日本を走っているテスラ モデル3の多くは上海製ですし、アメリカ製にしてもBYDのバッテリーが積まれているケースもある。それでもテスラは受け入れられ、日本で一番売れているEVです。このダブルスタンダードとも言える状況は、どう理解されますか?

東:そこのギャップですよね。製造地が中国でも抵抗なく受け入れられる一方で、中国「ブランド」だと途端に否定される。クルマは外で乗り玄関脇に置く高額品で、見られ方やパーソナリティの反映といった要素が強い。ラベルに対する反応が出やすいのは事実です。

F:25%の「何が来ようが中国はダメ」層に対しては、どのようにアプローチしていくおつもりですか?

東:そこは議論では動かない層だと思っています。

F:ではその層にはあえてアプローチはしない?

東:はい。無理にアプローチをすることはありません。我々がやれるのは、事実を正しく出し続けることだけだと思っています。日本での20年の事業。バスで10年、約400台の運用実績、そこからの耐久・品質・トラブル対応の蓄積を、淡々と伝えていく。それでも動かない方は一定数いらっしゃる。私たちはその“外側”から市場を広げる方を選びます。

 外側とはつまり、試乗して判断してくれる方、整備や保証の“顔”を求める方々です。だから店頭で体験できるディーラー網を増やす。日本専用の軽を日本でテストして出す。認知度を上げる。積み重ねでしか変わらない。一気に25%を動かす魔法はないと思っています。