F:シーライオン7の価格を見ても分かりますが、かなりの値段を出してくるのでしょうね。装備はどうでしょう?いまのところBYDの乗用車は、日本に“最上級のフル装備”をポンと持ってくる方式ですよね。

東:はい。乗用車については、お客様がオプションで混乱しないように“全部乗せ”に近い形で日本に持ってきました。軽についてはまだ申し上げられる段階ではありません。

 何というか……“言えない・話せない”ばかりで申し訳ないのですが、「日本の使い方に合うこと」が前提という点では今までの乗用車と変わりません。

BYDの軽EV、どこまで本気?→フェルさんもビックリした日本法人社長の答え「そこまでお考えとは…」BYD Auto Japan 代表取締役 東福寺厚樹さん Photo by AD Takahashi

BYDはなぜ日本市場に力を入れるのか

F:今回の“日本向けのみ”の軽EVにしても、シーライオンの価格設定にしても、また実店舗の展開にしても、BYDはなぜそこまで日本に力を入れるのでしょう?

東: BYDの王伝福(ワン・チュアンフー)総裁が「日本でのしっかりした販売基盤」を最重要と見ているからです。中国で売っているものをそのまま並べるのではなく、日本独特の軽市場にも正面から橋頭堡を築くべきだ、という考えが初めにある。

 だから、日本専用の軽EVを“流用なしの新規開発”で進めています。加えてBYDは日本で20年、商用バスは10年で約400台が実運用されてきた。その耐久・品質・トラブル対応の蓄積を乗用車へフィードバックし、「初めてのブランド」ではなく「実績の見えるブランド」として認識していただきたい、という狙いもあります。

 販売のやり方も同じ発想です。日本ではオンライン完結ではなく、試乗と整備の“顔”が見えるディーラー網を選びました。2025年末までの100拠点目標(※現状は66店。開業準備室含む)で空白地帯を潰し、店頭で体験して店頭で買うという日本の購買習慣に合わせる方針です。さらに価格面では、為替に左右されにくいよう円建てを本社側でヘッジし、わかりやすい値付けを維持していく。日本の生活圏に合わせて“距離を縮める”ことを最優先に、トップの意思と現場の実務を揃えている、ということです。