ガーバー先生によると、医学用語で書かれたレポートを読んで誤解した患者がパニックになって担当医のところへ押しかけるなんていまや日常茶飯事だそうだ。

 また通勤の途中や会食の最中、さらには子供を寝かしつけている時、親の葬式のまっただ中などに「あなたは癌だ」なんてレポートが来てしまってショックを受けたという患者の例も多い(「そんなの読まなきゃいい」と言われるかも知れないが、病院からの知らせは読まずにいられないだろう)。

 レポートを誤解し、悲観から自傷行為に及んでしまった人もいるそうだ。

 これらは当然予想されたことで、ガーバー先生の同僚もみな個人的には賛成してくれるのだが、「反・患者だと思われてしまうから、逆らわない方がいい」と言われてしまったそうだ。

 ガーバー先生は多くの医学雑誌にこの情報開示反対論を投稿したが、なかなか掲載してくれなかった。ある編集者は「あなたの意見はその通りで、私自身も同様の経験があるのだが、これはもう決まってしまったことで、どうにも仕方がない」と断ってきたという。

 それでもガーバー先生は粘り強く活動を続け、3つの州で情報開示を72時間程度遅らせ医者側に対応の猶予を与える州法の成立にこぎ着け、他の州もこれに倣うよう主張を続けている。

見方を変えるだけで
正義のヒーローも悪になる

 つくづく、正義は偏狭である。以下、ネットビジネス・アナリストの横田秀珠さんという方が出されたのが元ネタだそうだが、「2つの違い」について考えてみる。

 Aは自分自身の具体的目標がなく、相手の夢を阻止するのが生き甲斐。Bには大きな夢・志・野望があり、目標達成のため研究を怠らない。Aは何かトラブルが起こってからはじめて行動するのだが、Bは先手先手で仕掛け、日々努力を重ねる。

 Aは1回負けただけで落ち込むが、Bは失敗を怖がらず、へこたれない。

 Aは単独行動で素性を隠し、人がついてこないが、Bは隠し事なく支え合い、組織で行動するし、指揮系統がはっきりしていて仲間割れしない。

 Aは常に怒ってばかりいて、怒りを武器にするが、Bはいつも大笑いしている。