ご存知の方も多いだろうが、種明かしをするとAは「正義の味方」、Bは「悪の組織」なのである。

 解説は野暮だが、仮面ライダーとショッカー(例が古すぎる?最近の仮面ライダーの敵は何であるのか私は知らない)を思い出してみるとよく分かる。ライダーはいつも怒りに震えていて、ショッカー幹部はのべつに大笑いしている。

『患者と目を合わせない医者たち』『患者と目を合わせない医者たち』(里見清一、新潮社)

 財務省の知人に言わせると、予算請求は「すべて正義」なのだという。

 病人を救え、弱者を助けろ、災害から人々を守れ、生活を便利にしろ、科学を発展させろ、そのほかもろもろすべて「正しい」。「だけどカネがない」と、そういう「正義」の実現に異を唱える財務省はショッカーなみの「悪の組織」とされる。

 我ながらやたらと財務省の肩を持つようだが、むろんそんなつもりはない。ただ、確かに世の中の「正義の味方」は威丈高で、怒ってばかりのように見える。それはやはりどこか間違っているのではないか。

 その「正義」はいつまで続くのだろう。