結果がどうなるにしろ、「不安である」という事実を発言してもいいのだという共通認識が、チーム内に生まれるはずです。
本音を打ち明け合える関係が
心理的安全性を作っていく
メンバー全員が不安や恐れ、疑問といった感情を押し込まず、率直な意見として発信できる環境は、心理的安全性を高めることにつながります。
実際に、僕がこれまで関わってきた数多くの組織でも、心理的柔軟性の高いメンバーがいるチームほど、心理的安全性が高まりやすい傾向があると実感しています。いわば、心理的柔軟性は心理的安全性を形成するために不可欠な土台であり、この土台なくしては成り立たないほど、重要だと考えています。
六太が所属する「ジョーカーズ」(編集部注/月面ミッションに選出された6名からなるチーム)のメンバーのひとりフィリップも、月面基地で六太に複雑な心境を吐露するシーンがありますね。地球への帰還の目途も立たない中、たったふたりで途方もない作業を続ける日々が続き、思わず「これって意味あんのかなーって、ちょっと考えちゃったりさ……」と、六太に打ち明けます。
同書より転載。(c)小山宙哉/講談社 拡大画像表示
六太は、フィリップの言葉によって、自分自身も同じような感情を抱くときがあったことを自覚します。そしてこれがきっかけとなり、「やったことの結果が、誰かの“意味あること”になればいいんだ」という答えに結びつきました。
フィリップが心理的柔軟性を発揮したことで、ふたりは感情を共有し、結果、心理的安全性を高め、ミッションへのモチベーションも維持することができたのです。
同書より転載。(c)小山宙哉/講談社 拡大画像表示
『宇宙兄弟「心理的柔軟性」リーダーシップで、チームが変わる!リーダーの話』(長尾 彰、Gakken)







