(c)小山宙哉/講談社
「5人の中から2人の合格者を話し合いで決めろ。それも全員意見一致で」。これは、『宇宙兄弟』難波六太が挑んだ宇宙飛行士選抜試験の超難問だ。この試験は、リーダーにとって最も重要な資質を問うている。極限とも言える状況で、チームをバラバラにしないで話をまとめる方法が、果たしてあるのだろうか?※本稿は、長尾 彰『宇宙兄弟「心理的柔軟性」リーダーシップで、チームが変わる!リーダーの話』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。
極限の選抜試験で本領を発揮した
六太の「愚者風リーダーシップ」
六太の愚者風リーダーシップ(編集部注/一見すると優秀な人物には見えないが、周囲から信頼され、いるだけで物事が円滑に進むタイプのリーダーシップ。賢者風リーダーシップと対になる概念)が発揮される象徴的なエピソードといえば、JAXAの「新規宇宙飛行士選抜試験」です。
かなり初期のエピソードではありますが、『宇宙兄弟』ファンはもちろん、実在するJAXA宇宙飛行士のあいだでも話題になり、今なお強く心に残る素敵なエピソードです。
互いの健闘を祈りつつ閉鎖環境ボックスへと向かった六太とケンジですが、この時点でJAXAから、「最終日が来たら各班互いに話し合いをして――全員意見一致のもと、5人の中からふたりだけ宇宙飛行士にふさわしい者を選んでください」というミッションが与えられていました。
閉鎖環境ボックスでの生活が始まり、各班でまず議題となったのは、どのような方法で選抜者2名を選ぶかということでした。六太のいるA班は、最年長である福田直人との「無理して今決めなくていいんじゃないかな」というひと言で、未定のままスタートします。







