だが、研修でそうしたことを学ぶ機会はない。4週間ものあいだ研修を受けても、商品性についての知識*はいっさい身に着かないのだ。

 私は研修内容にずっと不満を抱えていた。これから自分が販売する商品をよく知り、どのようなアプローチをするべきかを検討したいと考えていたからだ。

残業代
これは実際に勤務し始めてからわかったことだが、Y郵便局では残業管理はゆるく、上司に厳しくチェックされるようなこともなかった。逆に、上司の目を気にしてみな1時間ほど残業しており、残業代も規定どおり支払われた。
終身保険
被保険者が亡くなるまで一生涯にわたり死亡保障が続く生命保険。契約を解約しない限り、いつ亡くなっても保険金が支払われるのが最大の特徴。保険料の支払い期間は一定期間で終える「短期払い」や、亡くなるまで支払い続ける「終身払い」などがある。途中で解約した場合には解約返戻金が支払われるため、老後の資金や相続対策、葬儀費用の準備として活用される。
養老保険
一定期間内に被保険者が亡くなった場合に死亡保険金が支払われ、生存して満期を迎えた場合にも同額の満期保険金が受け取れる生命保険。「万が一」の備えと「将来の貯蓄」を兼ね備え、保障と貯蓄のバランスが特徴。契約期間は10年、20年、または60歳や65歳までといった年齢指定が一般的で、期間終了時には解約しなくても保険金が自動的に支払われて契約が終了する。満期保険金がある分、同じ保障額の終身保険とくらべて保険料は高めだが、貯蓄手段として利用されることが多く、教育資金や住宅資金、老後の生活資金の準備に活用される。
ボテ計算を実演
ボテ計算の前提条件は多岐にわたる。たとえば、「青壮年契約」というものがあり、これからかんぽのコアなお客になる20~30代の契約にはプラス査定が付く。逆にせっかく契約できてもクーリングオフとなったり、未入金解除(初回の保険料が残高不足で口座振替できず契約が無効になること)になるとボテは発生しないばかりか、いったん支給されたボテも返戻となる。
商品性についての知識
上層部も自社の商品性の弱さを把握しているだろう。しかし、彼らにとってみれば、下手に細かい内容を現場に知らせることで営業マンたちの士気が下がれば元も子もない。研修で商品性に触れないのはそうした背景があったように思う。また、研修講師の中にはかんぽの商品が良いのだと純粋に信じている人さえいた。