しかし、もしかしたら、Mさん自身が自分のやり方を正しいと思っているというよりは、それ以外の方法に変えることが難しいために、自分の主張が強く出てしまっているとも言えます。
上司や組織を糾弾することは一般的には暴挙に思えますが、感情や文脈よりも言葉の内容に重きを置いてしまう特徴にも思われます。
社外の人の社交辞令も字義通り捉えて、曖昧な表現の「今度」の具体的な日にちが決まるまで執拗に確認していますが、本人にとっては不確定な日程で誘われたので日程を明確にしたいというだけの意図なのかもしれません。
当然相手は戸惑いますが、そうした相手の感情やニュアンスを汲み取れず、クレームにまで至ってしまったと考えられます。
発達特性のある部下を
どうマネジメントすればいい?
このように本人にとっては当たり前のことや、正しいと思うことをしているだけなのに、誤解され叱責やクレームとなり、業務に支障をきたしたり、社外の人に謝罪しなければならない事態になることもあります。
本人はそれが自身のどんな行動の特徴に起因しているかということまではよく理解していなかったとしても、結果としてさまざまなところでうまくいかないことが生じていることに、次第にストレスが高じていきます。
ストレスが高じると、さらに特性が強く現れることもありますし、非常に消耗し、メンタルヘルス不調に陥る危険もあります。突発休が生じた頃からMさんは非常に疲れが高じてしまい、メンタルヘルス不調が生じてきているとも考えられます。
つまり、Mさんには一貫している行動の特徴があり、それは、自閉スペクトラム症(編集部注/対人関係が苦手だったり、こだわりが強いといった特徴をもつ発達障害の1つ)にみられるような認知的特性との関連が考えられます。
たとえ上司がMさんへの対応に困難を感じていたとしても、通常、発達特性やメンタル面の要因に踏み込む前に、まずは業務の進め方の改善の働きかけや指導から試みることが多いでしょう。







