自律神経は無意識下で働いているので、知らず知らずのうちに消耗し、それが脳疲労へとつながっていくこともあります。交感神経と副交感神経で構成される自律神経は、両者のバランスをとることが非常に大事になります(【図1】参照)。
同書より転載 拡大画像表示
たとえ睡眠中であっても
脳は休んでくれない
疲れたら休むべき。これは正解です。
休むには寝るのがいちばん。これも正解です。
しかしいずれも、満点回答とはいえません。ただ単に体を休めただけでは、疲れが取れないことがあるからです。しっかり寝たはずなのに疲労感が抜けない、ということもあるでしょう。
ゆえにこの2つは、「上手に」「効率よく」が必須となる、条件付きの正解ということができます。
ここでみなさんに質問をしましょう。脳は起きているときと比べて、寝ているときは何パーセントくらいの働きをしているでしょうか。
「寝ているときは何も考えていないから、ゼロなんじゃないの?」
「いや、夢を見るのは脳が活動している証拠。20パーセントくらいではないか」
おそらく、そんな答えが返ってきそうです。実際に、これまでは専門家の間でも、睡眠中の脳は休んでいると考えられてきました。
しかし、脳の研究が近年進んだことにより、その常識は覆され、睡眠中も含めて脳は24時間休まず活動していることがわかってきたのです。一部の研究では、起きているときよりも多くのエネルギーを消費する可能性があることが示唆されています。
では、まったく休まる暇がないかといえば、そんなことはありません。睡眠は、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を交互に繰り返しており、ノンレム睡眠時に脳の疲労が回復することがわかっています。
睡眠の質が悪いとノンレム睡眠の時間が短くなってしまいますが、上質かつ十分な時間の睡眠を確保できれば、脳の疲れを取ることができるのです。







