先ほど、単に休むだけ、ただただ寝るだけでは疲れが取れないこともあるので、上手に、効率よく休む(寝る)ことが必須になると述べたのは、ここに起因します。

日本人は休み方も
睡眠の取り方も下手

 2018年のOECD統計によると、加盟国の平均睡眠時間8時間25分に対し、日本は7時間22分で、なんとワースト1位だったそうです(【図2】参照)。

図2 世界と日本の睡眠時間(2018年)同書より転載 拡大画像表示

 私たちは、そもそも全体的に睡眠の質が悪くなりがちな国民とみなすことができます。

 また、マーケティングリサーチ企業の株式会社マクロミルが2019年に公表したデータによると、「プライベートの時間が増えたら何をしたいですか?」というアンケートを日本ならびに諸外国でとったところ、日本の第1位は「休息・睡眠」だったといいます。

 日本人の多くは、「とにかく休みたい」と思っているのです。

 しかし一方で、日本の1年間の平均労働時間は、OECD加盟国平均の1752時間を145時間下回る1607時間(【図3】参照)。「日本人は働きすぎ」というイメージを持っているかもしれませんが、じつはけっこう休んでいるのです。

図3 世界の1年間の平均労働時間(2021年)同書より転載 拡大画像表示

 働いている時間が思いのほか少なくないにもかかわらず、「休息・睡眠」を欲する日本人は、休み方が下手な国民といってもいいのではないでしょうか。

 平均労働時間から判断すれば、十分な睡眠時間は確保できるはずですし、「働き方改革」が導入されて休むことを推奨される時代にもなっています。そんな状況、環境を上手に活かしきれていないのです。

 そしてその裏には、「休めば疲れが取れる」という意識があるとも考えられます。

 何度も繰り返しますが、ただ単に休むだけでは疲れは取れません。

 また、体を動かしながら脳を休ませる「アクティブレスト」という方法も存在します。休み方に対する正しい知識を身につけ、意識改革を行わないと、いつまでたっても疲れは取れないでしょう。