不安な時にスーッと落ち着く
簡単な方法

例えば、副交感神経が優位になりリラックスした時に起きる現象として、「胃腸が動く」ということがあります。リラックスしている時、胃腸は活発に動きます。

緊張した時に、飲み物を飲んだり食べ物を食べたりすると、胃腸を動かすことによって、体がリラックスモードに切り替わります。不安な時にミルクや水を飲んで落ち着かせようとすることがありますが、これはこの体の仕組みを利用しているわけです。

食事も同様です。緊張して交感神経が優位な時は胃腸の働きが抑制されるため、あえてご飯をよく噛んで食べる(胃腸を動かす)ことによって、リラックス状態を作り出すことができます。

つまり、不安になっている時は、「口に物を入れる」というのも一つの有効な方法なのです。

「体の感覚」に集中してリラックスする

「体の感覚に集中する」ということも非常に有効です。では、「体の感覚に集中する」とはどういうことでしょうか?

例えば、マッサージやお風呂がなぜ気持ち良いかというと、それは「触覚」が関係しています。体に触れられている感覚、あるいはお風呂のお湯が肌に触れる感覚や、その温かさに集中していると、体はリラックスし、副交感神経が優位になります。

五感を活かして副交感神経を優位に

「触覚(触れる)」「味覚(味わう)」「聴覚(聞く)」「嗅覚(嗅ぐ)」「視覚(見る)」という五感のすべてが使えます。美味しいものを食べて「味覚」を刺激することは、単に胃袋に物を入れるだけでなく、「美味しい」と味わうこと、つまり味覚に集中することでも副交感神経が優位になります。

好きな音楽に集中することで「聴覚」を刺激します(ただし、緊張感を高めるようなハードコアな音楽ではなく、リラックスできる曲が良いでしょう)。

アロマテラピーでリラックスできるのは、その香りに集中することで嗅覚が刺激され、副交感神経が優位になるためです。ちょっと空を見上げて青空を眺めて、視覚的にリラックスするだけでも効果アリです。ストレッチなどで体の感覚に意識を向けるのも良いでしょう。

このように、不安を感じた時は、体がリラックスする行動、すなわち副交感神経が刺激されるような行動を意識的に取ってみてください。そうすることで、不安が和らぐ可能性があります。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。