しかし、この「フィルパワーが高いから軽くて暖かい」というリーズンUSPをそのまま伝えたところで、そもそも多くの人は「フィルパワーって何?」と思うだろう。そして他社も「ウチの商品は軽くて暖かい」と同じようなことを言っているので、なかなか伝わらず、埋もれてしまう。

 そこで、この魅力を最も効果的に伝えるキャッチコピーを検討してみる。

「その軽さ、もはや“着てない”に近い。」

「この軽さで、冬を忘れる。」

「旅に一着。荷物が軽く、心も軽く。」

「荷物を減らしたいあなたに、まず一着。」

「軽さが、気持ちをあたためる。」

 情緒的共感性はあるが、インパクトが弱い。

 そもそも「軽い」「暖かい」というのは主観なので、他社商品でも言えそうで明確な差別化になっていない。

「スマホ1台分の軽さ」なら
ユーザーの心を掴むはず

 さらに考えてみる。

「500mlペットボトルの半分以下。」

「卵4つ分。それが冬の重さのすべてです。」

「おにぎり2個分の重さで、ぬくもりは無限。」

「500円玉40枚分のあたたかさ。」

 軽さを具体的な数値や身近なもので表現するアイデアが浮かんできた。これなら自分ごととして受け取りやすく、また数値で他社商品との差別化を図れる。

 ペットボトルの半分以下、卵4つ、おにぎり2個、500円玉40枚……。

 一体何と比較すれば、顧客はより自分ごととして捉え、その軽さを実感できるだろうか。

 その時、ふと頭に浮かんだのが「スマホ」だった。現代人にとって、常に肌身離さず持ち歩くスマホは、その重さの感覚が共通認識となっている。もし「スマホ1台分の軽さのダウンジャケット」と表現できれば、そのインパクトは絶大だろう。少し肌寒くなった時に備えて、常にカバンに入れていても気にならない軽さ。このキャッチコピーならば、間違いなくユーザーの心を掴むはずだ。

 しかし、実際のスマホの平均的な重さを調べてみると150gくらいであった。

 現在企画中のダウンジャケットは200g。