コンセプトを変えるだけで
商品の訴求力が爆上がり

 そこで、私は開発担当者に、どのような時に最も糖化が起こりやすいのかを尋ねてみた。すると、彼は「一番わかりやすいのは、お酒を飲んだ次の日かもしれませんね。お酒を飲んだ次の日は肌が荒れるという方が結構いらっしゃいます」と答えた。

 この瞬間、私は雷に打たれたような衝撃を受けた。

「これ、『お酒が好きな人専用美肌サプリメント』にするのはどうだろう?」

 ターゲットを「お酒が好きな人」に明確に絞り込み、「お酒を原因とする肌荒れを防ぐ」という独自のコンセプトにするのだ。こうすることで、この商品は瞬く間に、リーズンUSPから、競合の少ないユニークベネフィットUSP(他社が提供していない独自のベネフィット)へと変貌を遂げる。

 この新しいコンセプトをお酒好きの数人に話してみたところ、全員が「絶対欲しい!」と目を輝かせた。お酒が好きな人は翌日肌の調子が悪いことがあることを体感していた。しかし、そのためだけにお酒を控えるのもなんだかもったいない。よって、肌に良くないのはうすうす意識しながらも飲んでいるという人は多かった。そんな人たちからすると、このサプリは救世主のように感じられたのだ。

 同じ商品であっても、コンセプトをほんの少し変えるだけで、まったく異なる価値を生み出すことができる。

「糖化対策サプリメント」と「お酒が好きな人専用美肌サプリメント」を比較すれば、お酒が好きな人にとって、後者の方が圧倒的に魅力的な商品となることは明らかだ。これこそが、マーケターにとって不可欠な「客観的な視点」で考えるということなのだ。