そこで、このキャッチコピーを実現するために、150gまで軽量化できないかを検討するのである。たとえば、フードを取り外す、生地やボタン、ファスナーなどの材質を変えるといった改良を加えることで実現できないかを考える。このように、「キャッチコピー」という最終的な表現から逆算して、商品の詳細な仕様を詰めていくという発想が重要なのだ。

 このようにブラッシュアップした状態でリーチ戦略を展開すれば、反応はまるで違ってくる。インフルエンサーは「この『スマホ1台分の軽さのダウンジャケット』っていうのは紹介しやすい。フォロワーの反応も期待できる」と感じる。広告担当者は「このコピーならバナー広告で勝負できる」と判断する。つまり、レスポンス戦略における武器となるのだ。

話題のキーワード「糖化」に
潜在的なニーズはあるのか

 ある時、商品開発部門のメンバーが意気揚々と「糖化対策サプリメント」の開発を提案してきた。その理由を尋ねると、2010年頃から女性誌や美容健康系のメディアで「糖化」という言葉が、「肌などの老化を加速させる原因」として注目を集めるようになったことを挙げた。

 そして、最近ようやく一般的な言葉として定着してきたものの、糖化対策のサプリメント市場には、まだ圧倒的なシェアを持つガリバー的な商品が存在しない。だからこそ、今がチャンスだというのだ。

 しかし、メディアや女性誌で一時的に話題になるキーワードの中には、そのままではビジネスに結びつきにくいテーマも少なくない。「腸活」「食育」「デトックス」「未病」などが良い例だろう。その理由は単純で、これらの情報は「日々の生活で気をつけるべきこと」の啓蒙にとどまり、「新たな商品の購入意欲」を直接的に生み出しにくいからだ。

 私は「糖化」もまた、そうしたテーマの1つではないかと感じていた。ガリバー商品が育っていないのは、そもそも市場に潜在的なニーズがないからではないかと考えたのだ。