日常では意外に
同時並行を実践している

 ポッドキャストを聞きながら料理をつくったり、手ごわい問題について考えながらジョギングをしたり、テレビを見てくつろいでいる最中に電話で商品を注文したり、はじめてデートする相手と親しくなろうとする際に、一緒に陶器を彩色したり、といったことは、取り立てて悪い結果にはならないように思える。

 実際、マルチタスクがうまくいく場合はある。ある研究によると、「煎じ詰めれば、マルチタスクを成功させて、時間をより有効に使う秘訣は、互いにあまりぶつかり合わないような課題の組み合わせを見つけること」だ。

 それがうまくいくのは、すでに慣れていて、認知機能への負荷が小さく、ほかの課題とぶつかり合う度合いが小さい課題を複数同時におこなう場合だけだという。ただし、言うまでもなく、どのような課題に「慣れて」いるかは人によって異なる。

同時並行でできる組み合わせ、実行できない組み合わせの例同書より転載 拡大画像表示

 上の表は、仕事と仕事以外の課題について、同時並行で実行できる組み合わせ、実行できない組み合わせの例をいくつか挙げたものだ。もっとも毎度の話だが、重要なのは、あなたにとってどのような組み合わせがうまくいくかということだ。

 これらの活動を同時並行でうまくおこなうためには、いくらかの想像力が必要になる場合もある。たとえば、会議に出席しながら軽い運動をすることは可能だろうが、運動のメニューはよく考えて選ばなくてはならない。指の力を鍛えるエクササイズをしたり、バランスボールに乗ったり、自宅でオンライン会議に参加する場合ならウォーキングマシンで歩いたりすることはできるだろう。