オリンピックのメダルは金銀銅の3種類です。三種の神器、御三家、心技体、「見ざる、言わざる、聞かざる」から「早い、安い、うまい」まで、3でまとめることは古来、数多く行われてきました。なぜ「3」なのでしょう。

「3」はマジックナンバーと呼ばれます。

 人間の脳はたくさんのことを一度に覚えられません。年末になると「今年の十大事件」などという記事が出ますが、10個のことを覚えるには相当な集中が必要でしょう。

 3つならすっと頭に入る。2つでは頼りない。そんな数字が「3」だというのです。

ジョブズのスピーチが
人を熱狂させたワケ

 アップルの創業者スティーブ・ジョブズが、2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチがあります。ここで彼は3つのストーリーを話しています。

 1つ目は「点と点をつなげること」。中退したリード大学で出会ったカリグラフィ(西洋書道)の授業が、10年後につくったマッキントッシュを、美しい活字を使えるはじめてのコンピューターにするのに役立ったといいます。

 この経験から「点と点のつながりは予測できない。あとで振り返って、それに気づく。いましていることが将来何かにつながると信じてほしい」と語りました。

 2つ目は「愛と喪失」。彼は自分が創業したアップルを首になった経緯を話します。それは人生で最良の出来事で、5年のうちにネクストとピクサーという会社を立ちあげ、最愛の妻とも出会った。ピクサーは「トイ・ストーリー」で大成功し、世界最高のアニメ会社になりました。アップルがネクストを買収し、ネクストの技術でアップルは再建できた。

 この経験から「人生ではときにレンガで殴られるようなことが起きるが、自分を見失わないでほしい。自分は自分の行いを愛していた。みなさんも愛するものを見つけてほしい」と説きました。

 3つめは「死」です。17歳のときに「毎日を人生最後の日だと思って生きよう。いつか本当にそうなる日が来る」という言葉を読んだといいます。