国内上場企業の2025年3月期の純利益が4期連続で過去最高を更新した。好調さは大企業だけではない。財務省が9月に公表した2025年4-6月期の法人企業統計によると、金融業と保険業を除く全産業の利益は過去最大の35兆8338億円。利益剰余金(内部留保)も637兆5316億円と過去最大となっている。
そんな企業の好業績を受けて2018年に2万円台だった日経平均株価も今や5万円に届く勢いだ。では、労働者はどうかというと国税局の民間給与実態統計調査によれば、2018年の平均給与は440万7000円だったのが、2024年は2024年分の478万円と38万しか上がっていない。労働者の得られる対価が、企業の好業績に見合っていないのだ。
こういう労働搾取型ブラック社会で、技能実習生や留学生という外国人労働者をコキ使うのだから当然、「遺恨」が深くなっていく。
例えば昨年12月、技能実習生であるカンボジア国籍の女性3人が、就労先の事業主から性行為を強要されるなどの被害を受けたとして約9千万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こしている。
23年にはアメリカ国務省の人身売買に関する年次報告書のなかで、日本の外国人技能実習制度のもとで、強制労働の報告が目立つと批判。労働搾取をした者の訴追や発表がないと批判している。
このような問題は「氷山の一角」であり、被害を受けても泣き寝入りして祖国に戻る人もたくさんいる。そういう人たちがこれから何十年を経て、「若いときに日本で奴隷のように働かされた」と集団訴訟をしてくることなども予想される。
つまり、我々は結局、100年前の「労力の輸入」から始まった低賃金労働者依存と、一部の国の外国人を奴隷的に扱うという過ちを、再び繰り返そうとしているのだ。
では、それを回避するのはどうすべきか。「理想」としては前澤氏が掲げている「日本人だけで、賢く、効率よく、スマートで洗練された、豊かで綺麗な国を目指したい。量より質の国へ」である。