スーパーとコンビニの「いいとこどり」戦略
イオンが展開する、駐車場を備えた郊外型大型店舗モールとは異なり、まいばすけっとは市街地の小型店舗を出店することで、徒歩圏内で買い物に行く層を開拓した。
主な顧客層としては、駅から自宅へ帰る際に利用する地域の単身者や共働き世帯、また普段はあまり遠方のスーパーには行かない近所の高齢者家族となる。こうした層にとって、まさに「ちょうどいい」存在なのである。
好調な要因としては、値段設定も大きい。商品の価格がスーパーのイオン同等なので、定価販売のコンビニよりは安いため、“コンビニ・キラー”としての脅威的な存在になっている。
実際に比較してみると、あるコンビニでは「綾鷹」158円、「コカ・コーラ」170円、「紅しゃけおにぎり」が198円であった。一方、まいばすけっとでは、それぞれ99円、109円、119円(すべて税別価格)である。もちろん、おにぎりの品質は異なるが、同じドリンク商品で価格差がこれだけあると、消費者にとっては魅力的だ。
筆者の住む近所にあるまいばすけっとは2024年5月にオープンしたが、9月に450m離れたコンビニが閉店し、また同じ頃に400m先にあったコンビニがリニューアル改装中となった。この同時期の動きは、何らかの影響があったのかもしれない。
後発優位性を発揮した経営モデル
さて、マーケティングや経営学では、先発優位・後発優位の捉え方をすることがある。まいばすけっとは後発優位性を発揮し、「選択と集中」を実践している。先発企業として展開してきたスーパーやコンビニが成しえなかった、その中間の“いいとこどり”となる都市型の小型食品スーパーである。
コンビニでは、フランチャイズシステムでそれぞれの店舗にオーナー(店長)がいる。個々の店舗が独立した経営で、店舗売り上げからの一部がロイヤリティとしてフランチャイザー(本部)に支払われる。そのため、発注も個々の店舗ごとの責任で行われる。







