他責思考の人は白黒思考が強固
こちら側が感情的にならないこと

 こうして相手が自分のアドバイスを吸収できる素地をつくってから、その人の思考のクセについての対話を始めることがポイントです。

 世の中に白黒がはっきりつけられる事象は、意外と少ないものです。

 特に価値観や文化といった目に見えないものにおける認識の仕方については、

「確かに○○も悪いけど、あなたにも悪いところはあるよね」

 といったものがほとんどです。

 しかし、他責思考の人は、「私は100%正しい、相手が100%悪い」という白黒思考が強固です。

 したがって「あなたにも非があるよね」という部分を強調して伝えても、熱量を込めれば込めるほど、頑固さが顔を出して逆効果になってしまいます。

 その結果、険悪な空気になってしまったり、関係性が悪化する可能性が高くなります。

 特に勝気な性格の人が他責グセの人と向き合うと、ヒートアップしてしまいがちです。そうなると、望んでいるあり方からどんどん離れていってしまい、逆効果となります。

 したがって、「こちら側が感情的にならない」ことが大切です。

 言い合いがヒートアップしそうになったら、いったん「ごめんなさい、私の考えが違うかもね」と謝罪してしまいましょう

 悔しさや虚しさが去来するかもしれませんが、いったんは「負けるが勝ち」のスタンスで引くことがポイントです。

 他責グセのある人のまわりからは、次第に人が離れていきます。そうして自分のまわりから人がいなくなることで困った事態が起き、そこで初めて当人が気づくということもあります。

コーチングにおける
「質問スキル」を活用する

 近年、困難や逆境を乗り越える力、回復する力といった心のしなやかさを表す「レジリエンス力」という言葉が注目されています。

 レジリエンス力が高くなると自己肯定感が上がり、他人を貶おとしめたり、自分がマウントを取ったりしなくても、自我を保てるようになります。

 他責グセを修正してほしいからこそ、自分はいったん引く

 そのための謝罪は技術です。他責グセの人のレジリエンス力を信じてみるのもありです。