トヨタとの「共同開発」ではない
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):新型のフォレスターにじっくり試乗させていただきました。今回はフォレスター史上初のストロングハイブリッド搭載車で、しかもそれがトヨタ式ハイブリッドのライセンスを活用しているということで、非常に興味深く乗せていただきました。このハイブリッドは、「トヨタとの共同開発」という理解で正しいですか?
SUBARU 商品事業本部 プロジェクトゼネラルマネージャー 只木克郎さん(以下、只):いえ。正しくありません。トヨタさんとの共同開発ではありません。基本的にシステムは我々が開発しています。確かに今回の我々のストロングハイブリッドはTHS(Toyota Hybrid System:トヨタ・ハイブリッド・システム)を一部使わせてもらっています。それは事実です。ですからプリウスやRAV4のようなトヨタさんのハイブリッドのシステムと比べられることが多いのですが、我々としてはスバル独自の水平対向エンジンにTHSを組み合わせて、“スバルらしいハイブリッドにする”という狙いがあります。
F:そもそも、組み合わさるエンジンがまったく違いますものね。こちらはスバル伝統の水平対向エンジン。
只:はい。そもそもトヨタさんには縦置きで、しかも水平対向との組み合わせのハイブリッドが存在しません。ですから我々の中でトランスアクスル(注:トランスミッションとディファレンシャルギアを一体化したもの)も自社開発して、それを今回採用しています。
F:トヨタから何らかの部品を買ってきて、それを装着しているのですか?
只:基本的にはそうです。ですが具体的に何を買っているかを詳しくお話することができません。申し訳ないのですが……。
SUBARU 商品事業本部 プロジェクトゼネラルマネージャー 只木克郎さん Photo by AD Takahashi
トヨタのハイブリッドシステムを採用したのは「それがベストな解だから」
F:「何らかのパーツをトヨタから買っている」という事実は言ってもいいが、それが何で、どこに付けているかは言えない、という事ですか?
只:はい。そこまではちょっとお話しできません。「トヨタさんのシステムをアライアンスの中で活用させていただいている」、そういう関係性とご理解ください。
F:トヨタのシステムを採用したのはなぜでしょう。親会社とはいわないまでも、スバルの株式を21%持つ“関連会社”だからですか?それともTHSを使うのがベストの解だからですか?
只:もちろん、THS採用がベストの解だからです。新しいパワートレインをイチから開発するのは大変な時間がかかります。もちろんそれに伴って大変な費用もかかる。トヨタさんとはせっかくアライアンスの関係があるのですから、そこで一部ご協力をいただくのが我々としてはベストな選択だと思っています。
ただ一方で、全く同じものをまるっと使ってしまうと、「スバルとしてのハイブリッド」が実現できなくなってしまいます。だから我々なりに“スバルの要素”をふんだんに盛り込んだハイブリッドを造ったんです。使わせていただけるものは使って、自分たちでやる部分はやる。それでスバルらしいハイブリッドを造っていく、というスタンスです。







