燃費は3割向上、システム出力は非公表

F:組み合わせた水平対向のエンジンはどのようなものですか。ハイブリッド化のために新開発したものですか。水平対向はあまり燃費が良くないイメージがありますが、多少は良くなったのでしょうか。

只:エンジンは従来と同じ、2.5リッターの水平対向エンジンです。細かく見るともちろんハイブリッド化するためにさまざまな調整をしていますが、基本的には従来使っているものと同じです。燃費はおおよそ3割ほど良くなっています。燃費は良くなりましたがタンク容量は前モデルと同じです。だから走行可能距離はそれだけ伸びています。

F:出力はどうでしょう。従来型のエンジンにハイブリッドのモーターを組み合わせるのですから、当然馬力は大きくなりますよね。エンジン+モーターのいわゆる“システム出力”は、具体的に何馬力になりますか。

只:もちろん増えているのですが、それを数値として言い表すのがちょっと難しいところでして……。いわゆるシステム出力にはさまざまな計算方法があります。ある方法で出せばもちろん数値化できるのですが、その数字と他の方法で出した数字を比べられると面倒なことになってしまう。だから、あえて具体的な数字は言わないようにしています。カタログにも記載していません。

※ちなみにこのシステム出力は、アメリカスバルから194hp(約197ps)と具体的な数値が公表されている。日本では160psの水平対向+88kWモーターという内訳のみで、只木さんの言う通り合算値は出していない。先代のマイルドハイブリッドe-BOXERもシステム値の公式発表がないので単純な比較は難しいが、エンジン出力145ps+モーター10kWだったので、今回の160ps+88kWと比べると構成要素が大幅に強化されていることがわかる。

F:さまざまな計算方法があるとおっしゃいましたが、エンジン+モーターの単純な足し算ではダメなのですか?

只:単純な足し算の数値を出しているところもありますが、我々はやりません。

F:チューニングによっては、単純な足し算の出力を実際に出すことも可能なのですか?

只:理論的には可能です。エンジンの最高出力のところに合わせてモーターの最高出力を重ねれば良いわけですから。ただ、それはあまり意味がない。別にそのため“だけ”のモーターではありませんので。ただ、やっぱりパワーは出ていますよ。例えば高速に合流しようとした時にアクセルを踏み込むと、モーターがグッとアシストしてくれる。そういう領域では、やっぱり従来のエンジンよりもレスポンスが圧倒的に良いので。