「失礼があってはいけない」「気に入ってもらいたい」と気を回すあまり、とにかくたくさんの敬語を駆使して、自らを下げ、相手を上げようとします。

 その背景には「こんなことを言ったら怒らせてしまう」という自信のなさや、「私はちゃんとおべっかを使いましたからね」という自己防衛の気持ちがあります。

 ですが、相手としては「嘘くさい」「気持ちが見えない」と不信感を抱くことになります。

 コンビニ敬語やファミレス敬語に代表されるように、やりすぎな敬語は「マニュアルっぽさ」が出てしまいます。自分の頭で考えることなく、“ありもの”の話し方をそのままやっているように見えるのです。

 また、敬語で飾り立てるのに一生懸命なあまり、肝心の内容が伝わらないこともしばしば。相手としては「ペコペコするばかりで、何が言いたいのかさっぱりわからない」と首を捻ってしまうことに。

 これはキャッチボールをしていて、「ケガをさせてはいけない」「優しい人と思われたい」と、勝手にスポンジのボールを持ち出して、ゆっくり転がして投げるようなもの。

 相手としてはかえって捕りにくいし、テンポも悪くて楽しくない。「バカにしてるの?」「もっとちゃんと投げてよ」とイライラすることになってしまいます。

最低限の敬語しか使わない
シンプルな会話が相手に刺さる

○「見積もりの件、その後いかがでしょうか?」(はいはい、あの件ね!)

○「お手すきの際にご一読ください」(わかりました、読んでおきます!)

○「来月から価格が改定されます、よろしくお願いいたします」(しょうがないね!)

 会話IQが高い人は、最低限の敬語しか使いません。

 会話の目的は「相手を怒らせないこと」ではありません。「見積もりの確認をしたい」「書類を読んでほしい」「価格上昇を受け入れてほしい」という本来の目的を優先して、シンプルに話します。

 もちろんそのことで、相手が気分を害することはあるかもしれません。