金融インサイド#6Photo by Yasutaka Nagayoshi

今年5月、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行が開発したフルクラウド型の銀行システムが、三菱UFJ銀行の新設デジタルバンクの基幹システムに採用された。収益面では赤字が続くが、個人向けやシステム外販に加え、BaaS(Banking as a Service)事業を加速させる“第二創業期”を迎えている。長期連載『金融インサイド』の本稿では、みんなの銀行の永吉健一頭取に、システム採用の背景や他銀行での需要の見通し、そして「Jカーブ型の成長は必然だ」と語る真意を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

BaaS本格展開で迎える“第二創業期”
外販は三菱UFJ以外も視野に

 2021年、日本初のデジタルバンクとして誕生したみんなの銀行。ふくおかフィナンシャルグループが立ち上げた同行は、若年層を中心に全国で利用者を広げている。

 一方、収益面では依然として厳しい局面が続く。営業開始以来、純利益は赤字が続き、25年3月期の最終損益も54億円の赤字。27年度の黒字化目標を掲げているが、実現の見通しは不透明だ。

 そうした中、25年5月に大きな展開があった。三菱UFJ銀行が新設するデジタルバンクの基幹システムとして、みんなの銀行が開発したフルクラウド型コアバンキングシステムが採用されたのだ。初の外部提供先が国内最大手のメガバンクとなったことで、業界での注目も大きい。

 永吉健一頭取は、三菱UFJ銀行以外でのシステム導入について「十分にあり得る。メガバンクがデジタルバンクを設立していく中で、地銀も危機感を持って模索していく流れになると思う」と話す。

 同行は設立以来、個人向けサービスを中心に事業を展開してきた。こうした“第一創業期”を経て、現在は外販とBaaS(Banking as a Service、APIを通じて金融機能を外部企業に提供する仕組み)を両輪とする“第二創業期”へと歩みを進めている。

 国内最大手が採用を決めたのは、どのような強みがあったのか。そして、永吉頭取が「Jカーブ型の成長は必然的」と語る背景には、どのような戦略があるのか。次ページでは、三菱UFJ銀行による採用の背景から、第二創業期でJカーブ成長を実現するための道筋を永吉頭取に聞いた。