これまで理科教育のための実験設備などの充実に力を入れる学校は多くありましたが、英語教育をハード面から変革しようとした学校は、山脇が初めてでしょう。同じ内容を学ぶにしても、学ばせ方を変えるだけで、子どもたちの目の輝きがこれほど変わるというのは、まさに教育の本質を突いた取り組みといえます。

 さらに、シアターを設置したり、放課後にはカフェテリアで焼きたてのパンを販売したりするなど、生徒のQOL(生活の質)を向上させることが、結果的に学習意欲や成績向上につながるという信念を実践しています。これは、以前に、おしゃれでおいしいレストランを誘致するなど、大学のキャンパス改革で実践されていた取り組みが、中高にも及んだという見方もできるでしょう。

 勉強面ではとにかく面倒見が良く、先生たちが授業はもちろん補習や自習までとことん勉強を見てくれています。予備校などとの連携も積極的に行い、一人一人の進路の実現に全力で向き合う学校です。

 学校教育をハード面から見直すという革新的なアプローチは、他の学校にも広がっていく可能性があり、その先駆けとして、現在、急速に人気が上昇している同校。今後は進学実績の向上も期待できます。

東洋英和女学院中学部・高等部
非日常空間で育む本物の教養

 東洋英和女学院は、六本木のベトナム大使館の隣という都心に位置しながら、独特の雰囲気を持つ学校です。世間一般では「お高い」というイメージを持たれることもありますが、実際に訪れてみると、その教育環境の素晴らしさに驚かされます。

 例えば、講堂にある荘厳なパイプオルガン。私学とは何かと問われたとき、公立では実現できない非日常の体験を提供することが一つの答えだとすれば、東洋英和ほどその非日常性を体現している学校はないでしょう。これは単に施設が立派できれいということではなく、親が家庭では教えることのできない本物の文化や教養に触れる機会を提供しているという点で、極めて価値があります。

 高校3年生でも聖書と合唱の時間が必修として設けられているなど、一見すると大学受験には直接関係のない教育も大切にしています。こうした「実益につながらない」ように見えるものこそが、実は人間形成において重要な役割を果たしているのです。

 昨今のキャリア教育重視、コスパ・タイパ重視の風潮の中で、まず自分を知り、人を助け、優しく生きることの大切さを教える東洋英和の教育姿勢は、むしろ貴重なものといえるでしょう。生徒の雰囲気もおっとりとしている印象です。