伝統を大切にしながらも、時代に合わせた変化も取り入れています。

 英語や数学では20人程度の習熟度別クラスに分けたり、文系理系という大雑把なくくりではなく、各自が志望進路に合わせた時間割を自分自身でつくれるよう、高2で20、高3で41の選択科目を設置したりするなどのきめ細かな受験指導をしています。良い意味で伝統を残しつつ、新しいカリキュラムをうまく融合させているといえるでしょう。

 部活動はボードゲーム部や剣道部からハンドベル部まで本当に幅広いジャンルのものがあり、自分の好きなものに熱中できます。卒業生の人数が少ない分、数字的には目立たないですが、早稲田、慶應、上智をはじめとした私大や医学部への進学も安定してます。

 入試問題も極めてスタンダードで、特別な対策は必要ありません。みんなが生き急いでいるように見える現代だからこそ、進学実績だけを追い求めるのではなく、より本質的な教育に力を入れ、ゆったりとした時間の流れの中で、本物の教養を身につけられる学校の存在価値は高まっているのではないでしょうか。

大妻中野中学校・高等学校
さまざまな個性を受け入れ、伸ばす

 大妻中野は、中堅校の代表と呼べるでしょう。大妻という学校群全体の特徴でもありますが、勉強のできる子から苦手な子まで、さまざまな個性を持つ生徒を温かく見守るような、多様性重視の名にふさわしい学校です。

 女子の中堅校といえば、保守的な学校が多い傾向にありますが、新しい教育方法や革新的な取り組みにも積極的にチャレンジする姿勢があります。どんな生徒でも受け入れて、その子なりの成長を支援してくれるのが大きな魅力。のんびりとした雰囲気の中で、それぞれの生徒が自分のペースで成長していける環境が整っているのです。

 例えば、3人の生徒がいて、1人は美術系、1人は文系、もう1人は理系という場合、それぞれの希望を「いいね」と認めて終わりにするのではなく、各自に必要なサポートをしてくれます。

 指定校推薦もたくさんあり、学校の活動を真面目に行っている生徒にとって報われる仕組みといえます。また、卒業生をチューターとして多数採用しており、学校全体で進路指導に注力している印象です。

 礼儀作法など、一見、学業成績には直接結びつかないようなこともたくさん学びますが、社会に出てからの人生の長さを考えると、ないよりあった方がいいものばかり。情操教育を含めてさまざまな教育を受けられる貴重な学校です。ふつうの子が毎日を輝いて過ごすことができる学校だといえるでしょう。

 部活動では、合唱部が全国大会でも上位に進出するなど、学校の看板部活として歴史的にも有名です。

 なお、山脇も同様の特徴を持っていましたが、現在では人気が上がりすぎて偏差値帯的には、中間~下位層にとってはやや難度が上がっているのが実情です。その意味で、大妻中野はまだ入りやすい偏差値帯にあります。基礎をしっかりと身につけ、塾の授業についていける程度の学力があれば十分に受験可能です。

そりゃ人気出るわ…中学受験で「どこの塾でも一番人気」注目度が急上昇中の女子校とは?
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