「事業存続型倒産」の最多は
「サービス業」で43件

 2024年度に判明した「事業存続型倒産」(負債5億円以上)を業種別にみると、「サービス業」が43件(存続率42.2%)で最多となった。また、以前から事業存続型の倒産が少ない傾向にある「建設業」では、人手不足に伴う施工能力の確保に向けたロールアップの動きなどを背景として、件数(7件→15件)、存続率(12.7%→24.6%)ともに上昇した。

 業種細分類でみると、主に調剤薬局を営む「医薬品小売」が最多の7件で存続率は100%。これは2つの企業グループで、それぞれまとめて事業譲渡が成立した事例だった。以前からM&Aが活発な業界であり、事業存続がしやすい環境にあったと推察される。

 金融債務の負担が軽くなれば、インバウンド需要を背景に一定の収益確保が見込める「旅館・ホテル」も、7件で最多タイとなった。各観光地の雇用維持という観点からも、積極的な事業存続が図られているとみられる。

 政府は、私的整理スキームを活用しながら、地域企業の事業存続を図る制度づくりを進めており、2026年12月に予定される「早期事業再生法」の施行もその一環といえる。企業規模を問わず事業存続に取り組む気運が高まる一方で、公租公課の滞納がネックとなり再建困難な事例や、経営者の判断の遅さからすでに“手遅れ”の事例も少なくない。

 そもそも本業での収益力改善が見込めなければ、債務カットを通じた負担軽減策があったとしても抜本的な事業再生は難しい。弁護士や金融機関、再生専門家といった支援体制のさらなる強化とともに、自社の事業再生に早期着手する経営者の意識醸成やスキームの浸透が、これまで以上に重要となりそうだ。