組んだ手が赤くなっている、がんのイメージ写真写真はイメージです Photo:PIXTA

年間でおよそ10万人が新たに診断される「前立腺がん」。その予測死亡数は年間1万人にのぼり、男性にとって深刻な健康問題となっている。そんな前立腺がんの早期発見に用いられる「PSA検査」について、どんなメリットやデメリットがあるのか。そして、現在行われている“2つの試み”とはどのようなものなのか。※本稿は、永井孝志・村上道夫・小野恭子・岸本充生『世界は基準値でできている 未知のリスクにどう向き合うか』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

前立腺がん検診の
PSA検査とはどういうもの?

 前立腺がん検診のPSA(Prostatic Specific Antigen:前立腺特異抗原)検査は、がんによって前立腺組織が壊れると、PSAが血液中に漏れることを利用するもので、血液中のPSA濃度を測定して前立腺がんかどうかを診断する。表8-2の検診ガイドラインでは、PSA検査は年齢によらず推奨グレードはIと判定されている(編集部注/推奨グレードの高さはABC順)。

表1同書より転載 拡大画像表示

 乳がんのマンモグラフィ検査のように年齢が高ければメリットが大きくなるというものではないようだ。

 では、PSA検査のメリットとデメリットはどのように評価されたのかを見ていこう。