KKR傘下のロジスティードは倉庫を売却した
大手物流会社が自社で保有する倉庫や物流センターをファンドやREIT(上場不動産投資信託)に売却し、セール&リースバックで継続使用する「アセットライト化」の動きが増えている。固定資産の削減は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)の改善につながり、市場からの資本効率経営の要請に応えられるためだ。ただ、資産の売却による短期的なキャッシュフローの改善にとどまらず、収益性の高い事業への再投資など長期的な成長戦略を描けるかどうかで、「アセットライト化」の真価が問われることになる。(カーゴニュース編集部)
資産を売却、得た資金を新たな成長投資に
東京証券取引所(東証)は2023年3月に、「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」の企業に改善を促すため、プライム市場およびスタンダード市場の企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請。資本効率改善の手段として注目されたのが、企業が保有する不動産の売却だ。アクティビストが株式を取得し、上場企業に不動産の売却を提案する事例も増えている。
物流会社は倉庫や土地といった含み益のある数多くの資産を持ち、資産売却の成果を得やすいため、短期的な企業価値の向上を狙うPE(プライベートエクイティ)ファンドによるM&Aのターゲットになりやすい。ファンドが物流会社に出資し、倉庫や物流センターをセール&リースバックし、そこで得たキャッシュを新たな成長投資に回し、財務指標を改善させた後、売却または上場させる――というストーリーを描きやすい。
事業用不動産の戦略はかつての「オフバランス」から「アセットライト化」にシフトしつつある。27年4月から新たなリース会計基準が適用され、倉庫の賃借などオペレーティングリースについても使用権資産とリース負債として貸借対照表に計上されるようになる。セール&リースバックはオブバランスにはならないが、固定資産の削減により財務体質を強化でき、売却により得た資金をより収益性の高い事業や成長投資に回せる。







