商談において目指すべきは、「相手が望むものを知り、それにフィットするものを提案する」という姿勢です。

 つまり、相手から情報を引き出す「プル型」コミュニケーションが重要なのです。

 こちらから一方的に情報を渡すのではなく、相手の情報を引き出し、相手と一緒になって考えることで、双方にとってベストな結論を目指すのが、商談の醍醐味です。

 商談が前に進むのは、相手と同じ目線に立ったときなのです。

“響かない商談”を改善する
3つのチェックポイント

 こうした状況を踏まえると、マネジャーが若手にフィードバックすべきポイントが見えてきます。

 それは、決して「トークを磨け」などではありません。

 そんな場合には、「相手の状況を把握しよう」と助言するのが適切です。

 具体的には、以下の3つの観点で、アドバイスをしていくと良いでしょう。

1. 根拠があるか?

 いきなり「このプランがオススメです」と切り出しても、「なぜ?」が伝わりません。

 また「安いから」「新機能が追加されたから」「サポートが強化されているから」などの情報が明確になっていないと、相手はなぜこの商品・サービスをおすすめされているのかがわかりません。

2. 相手の状況が見えているか?

 根拠が相手に響くかどうかは、相手の状況次第です。

「多少高くてもいいから、サポートがしっかりしている方が良い」という人もいれば、「機能・サポートは最小限でいいが、とにかく安いことを求める」という人もいます。相手のことがわかっていないと、どのセールスポイントが響くのか、判断できません。

3. 選びやすい選択肢になっているか?

「この内容でぜひ検討してください」で終わる商談は、相手に「委ねすぎている」可能性があります。

「まずは、1カ月無料のお試しプランでご契約ください」「3カ月間は特別割引をつけられます」「サポートを3回無料でお使いいただけるチケットをご用意しています」「既存ソフトからの乗り換えに関して、社内向けの勉強会を開催させていただきます」など、相手の状況に合わせた「乗りやすい選択肢」が提示されていれば、相手も次の一歩を踏み出しやすくなります。