写真はイメージです Photo:PIXTA
どんな仕事にも「旬」がある。ここ20年ほどはITエンジニアが重宝されてきたが、AIの進化が止まらないいま、かつてのスキルだけで生き残るのは難しい。だが、前職の知見を活かし、法律という新たなフィールドで力を倍増させる道があるという。株式会社IGPIグループ会長、株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役会長の冨山和彦が、今後の法曹界を占う。※本稿は、内田 貴編著『弁護士不足――日本を支える法的インフラの危機』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
法律の知識を持った
プログラマーが時代の寵児に?
AI技術の進化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展は、法曹界にも新たな人材活用の可能性をもたらしています。
特に、プログラミングのバックグラウンドを持つエンジニアの方々にとって、法律学習は非常に親和性が高いと私は考えています。
なぜなら、法律というのも、ある種の論理体系、いわばアルゴリズムだからです。
契約書にしても、法令にしても、一定のルールとロジックに基づいて構成されています。そのルールに個別要件事実を当てはめた時、それが法的評価として同じ変数であれば同じ答えが導き出される。まさにアルゴリズムと同じ。
だからプログラミングを通じてアルゴリズム的思考を身につけたエンジニアの方々にとって、法律の構造を理解し、それを自らの思考様式に取り込むことは、比較的容易であり、かつ非常に面白い知的作業となるはずです。
プログラマーという職業は、残念ながら「旬」が短いと言われることがあります。
例えば30歳を過ぎると、最先端の技術トレンドを追い続けるのが体力的に厳しくなったり、より若い世代に活躍の場を譲るケースも少なくありません。
「法学以外の専門領域の学位や実務経験を持つ人」を増やす、という文脈では、エンジニアの方々が、セカンドキャリアとして弁護士を目指すという道は、非常に有望だと思います。







