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「ちゃん付け」がセクハラと認定された判決が話題になった。単なる呼び方が問題になるなんて――そう感じる人も多いかもしれない。しかし、令和の職場で「ちゃん付け」はどんな意味を持ち、どんなリスクをはらむのか。変わりゆく呼称文化を考える。(フリーライター 武藤弘樹)
「ちゃん付け」で22万円の損害賠償
とうとう時代もここまできたか――?
「『ちゃん付け』はセクハラ」の判決で、年上の同僚男性に22万円の損害賠償が命じられたのは10月末のことである。
万事がハラスメントと騒がれうる昨今、「ちゃん付け」程度のことまでもアウトに該当することとなって、「とうとう時代もここまで来たか――」と嘆息させられるが、この感想は半分正解で、半分正確な理解ではない。
メディアはタイトルを目立たせがちなので、「ちゃん付けがセクハラ」という部分のみが独り歩きしていたが、内容をよくよく読んでみると「ちゃん付け」だけが独立して単体でセクハラ認定されたのではなく、女性社員への容姿や下着への言及など、一連のセクハラの中のひとつに「ちゃん付け」があったというのが実態である。
ただ「ちゃん付け」が単体で取り締まられるわけではない。とはいえ、セクハラのひとつに数えられうると示されたのはやはり特筆すべきことであり、「とうとう時代も――」の感想はトータルでいうと半分正解で半分違う、というわけである。
2023年には広島市立大学で、複数の学生に対して体型の揶揄やちゃん付けを行った男性教授がセクハラと認定され、停職2カ月の懲戒処分になった。







