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東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に、ようやくめどが立った。他社の原発再稼働にも弾みがつく動きだが、手放しでは喜べない。巨額の安全対策投資や過去の赤字によって、電力各社の「借金体質」は依然として深刻なままだからだ。特集『26年版・倒産危険度ランキング【危険水域408社】 過剰債務企業に迫る「最終審判」』の#3では、電力・ガス業界の倒産危険度ランキングを検証。“危険水域”にランクインした14社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
東電の原発再稼働にめど立つが
解消は遠い電力各社の借金体質
11月下旬、東京電力ホールディングス(HD)の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)について、同県の花角英世知事が再稼働に同意する意向を示した。2011年3月の東日本大震災以降、再稼働ゼロが続いていた東京電力HDにとっては「悲願」の達成であり、他の電力会社の原発再稼働にも弾みがつく動きだ。
福島第一原子力発電所事故以前、国内では54基の原発が稼働していたが、震災後に全て停止した。その後、原子力規制委員会による審査基準が厳格化され、原発敷地内で起こり得る最大規模の地震動を想定した安全対策を義務付ける新規制基準が設けられた。
電力各社はこの新基準に沿って対策工事を進め、これまでに14基が再稼働を果たした。ただし、そのうち13基は関西電力や九州電力など西日本に集中しており、東日本で稼働しているのは東北電力の女川原子力発電所2号機(宮城県)のみという「西高東低」の状況が続いている。
こうした中、11月末には、北海道電力が再稼働を目指す泊原子力発電所3号機(北海道)を巡り、北海道の鈴木直道知事も容認する考えを示した。
とはいえ、手放しで喜べる状況にはない。巨額の安全対策投資に加え、長引く原発停止に伴う燃料費負担増で過去の赤字が積み上がり、電力各社の「借金体質」はなお解消されていないからだ。
今後は、脱炭素を見据えた再生可能エネルギーへの投資も不可欠であり、資金需要は膨らむ一方だ。稼いだキャッシュフローだけで投資を賄い切れず、有利子負債が重くのしかかる構図は変わっていない。
ダイヤモンド編集部が電力・ガス業界の倒産危険度ランキングを作成したところ、14社が“危険水域”にあることが判明した。次ページで、その顔触れを明らかにする。







