臨時記者会見で東京電力柏崎刈羽原発の再稼働容認を表明する新潟県の花角英世知事 Photo:JIJI
東京電力ホールディングスの「柏崎刈羽原発6号機」の再稼働を評価することはできる。しかし日本の原子力政策やエネルギー政策を「再起動」させるほどの、画期的な出来事だといえるだろうか。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、三つの特殊要因に言及し、この問いを掘り下げる。(国際大学学長 橘川武郎)
柏崎刈羽原発6号機の再稼働は
本当に画期的な出来事か
2025年11月21日、新潟県の花角英世知事は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を容認すると表明した。地元の了解を取り付けることは難航し、花角知事の容認表明までに、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の新規制基準適合性審査を原子力規制委員会に申請してからは12年2カ月、同6、7号機が原子力規制委員会の審査に合格してからは7年11カ月の歳月が、それぞれ流れていた。
一時は絶望視さえされていた柏崎刈羽原発再稼働のメドが立ったことによって、政府、電力業界、経済界、そして一部のマスコミからは、「歓声」が上がっている。例えば、花角知事の容認表明を伝えた25年11月22日付の『日本経済新聞』は、1面トップで、「エネルギー政策再起動」という大見出しを掲げている。
確かに、出力135万6000kWの柏崎刈羽原発6号機が運転を再開すれば、需給が逼迫しつつある東京電力供給エリアにおける電力安定供給に資することは間違いない。また、近い将来、同じ出力の7号機が再稼働する蓋然性も高い。そしてそもそも、新鋭機のABWR(改良型沸騰水型軽水炉)である6号機は、これまで再稼働を果たした他の古い原子炉に比べて、危険性が相対的に低い。
これらの点について、柏崎刈羽原発6号機の再稼働を評価することはできる。しかし、それが、日本の原子力政策やエネルギー政策を「再起動」させるほどの、画期的な出来事だといえるだろうか。本稿では、この問いを掘り下げる。







