「当時のブランドマネージャーは、創業者が作り上げたチキンラーメンに手を入れるというのはかなり恐れ多いと躊躇(ちゅうちょ)していたようです」と清水氏は話す。
結果的にたまごポケットの開発には1年程度の時間を要することになった。単純に見えて多大なこだわりが詰まったこのリニューアルが消費者にも響き、たまごポケットを取り入れた新バージョンの販売数は前年から大きく伸びた。2008年にはさらなる改良を加えて黄身と白身のくぼみを設けた「Wたまごポケット」を開発した。
2008年に登場した「Wたまごポケット」 写真提供:日清食品
なお、たまごに関しては今もなお追求し続けている。
2025年に世に送り出した「しろたまメイカー」はキャンペーン商品ではあるが、あたかもハイテク製品であるかのような紹介動画が1カ月でYouTube100万回再生(10月24日時点で429万回)と大いにバズり、近年の同社の動画でもトップ人気となっている。
「0秒チキンラーメン」が大ヒット!
売れすぎて販売休止も
2つ目の変化は、商品のバリエーションを時代に合わせて増やしていることだ。現在、チキンラーメンシリーズは、袋麺タイプ、カップタイプ、それぞれのミニサイズなどがあり、さらに期間限定商品が毎年3~4点は出ている。
中でもユニークな商品は2022年4月に発売された「0秒チキンラーメン」だ。これはチキンラーメンにお湯などを注がず、スナック菓子感覚でそのまま食べる人が一定数いることから開発された。
「もともとお客さまから『ちょっとしょっぱいんだよね』といった声もあったのです。湯戻しする設定なので、通常のチキンラーメンをそのままポリポリとかじると塩辛いわけです」
そこで0秒チキンラーメンは、通常のものよりも塩分を約50パーセントに抑え、食べやすい味にした。発売当初は積極的にテレビCMなどを打ったこともあり、想定以上に売れすぎて一時期販売を休止した時期もあった。
また、チキンラーメンは商品のバリエーションだけでなく、パッケージデザインも時代に合わせて変更している。これまでに大きく10回のパッケージリニューアルが行われた。







