課題は若年層へのリーチ
即席麺を学校教材に
チキンラーメンの目下の課題は若年層へのリーチだ。テレビCMやSNSなどでブランド認知は高いものの、それが喫食機会の増加にはまだつながっていないのが現状である。
「チキンラーメンは幼少の頃に食べていても、実家を出て一人暮らしなどを始めた時に食べなくなり、その後、自分が結婚して親になると再び接点が増えてくるといった調査データが出ています。その谷間の部分を何とかしたいと考えています」
課題解決の一環として2024年から取り組むのが、学校教育を絡めた広報活動だ。小学5年生の「社会科」授業で使える教材を開発。百福氏がどんな思いで即席麺を発明したのかを伝えたり、その商品が厳格に管理された工場で安全安心に作られている様子を紹介したりするムービーや資料などを提供する。初年度はおよそ1万人の児童が受講したという。
この取り組みには、チキンラーメンのブランドに愛着を持ってもらうとともに、日本人が即席麺を発明したという事実をもっと周知させたいという願いがある。
「チキンラーメンの発売から67年もたっていますが、それが今でも通用するし、日本で生まれた商品なのだということをアルファ世代と呼ばれる若い人たちにもっと伝えたい。そして、誇りに持ってもらいたいと思っています」と清水氏は意気込む。
日清食品マーケティング部第3グループブランドマネージャーの清水文恵氏 Photo by Manabu Fushimi
変えてはいけない核心部分と、時代に合わせて変化させるべき周辺部分。この見極めこそが、ロングセラーブランドを育てる鍵となるのだろう。チキンラーメンの67年間変わらない味が、これからも愛され続ける理由がここにある。







