乗り合いバンなどで移動していた南アフリカなどの中間層以下の人びとが、「密」を避けるため自家用車を求め始めたニーズをつかんだ。テレワークの普及による電子機器の需要の高まりなどによる半導体不足のなか、半導体数が少なく済む手頃な車の供給に対応できたことも功を奏した。
現地法人幹部は「多様な車種をインドで造っていたからこそ、アフリカでの需要に応えられた」。日本からの輸出と比べて輸送日数は半分程度に短縮でき、その分コストも抑えられる。
スズキのインド子会社は、輸出台数を23年の約28万台から、30年に75万台に増やす目標を掲げる。現地法人幹部は、アフリカ市場が「その中心の一つになる」と見る。
農機大手のクボタなど、インドを拠点にアフリカでの販売拡大を目指す日系企業は他にもある。現時点では構想レベルの話も多いものの、今後はインドの市場を攻略した先に、輸出拠点としてインドを生かそうと考える企業が増えてくるかもしれない。
「東京に次ぐ事業地」に
ムンバイを選んだ理由
インドへの日系企業の投資といえば、現地で新車販売首位のスズキなどの自動車産業が思い浮かぶ。ただ、近年は幅広い業種がインド市場の攻略を目指して現地に進出している。日系企業による巨大プロジェクトが動き出したと聞き、商都ムンバイへと向かった。
2024年4月。立ち並ぶタワーマンションや高層ビルの足元に、樹木が生い茂る広大な空き地がぽっかりと広がっていた。インド随一の大都市の中でも、外資系企業のオフィスやショッピングモールが集まる「ワーリー地区」で、住友不動産が複合都市開発に挑んでいる場所だ。
「もとは、財閥企業の紡績工場でした」。住友不動産の現地法人代表、川原弘敬さん(50)が説明する。工場閉鎖で遊休地となった約8万平方メートルの土地を、住友不動産は467億ルピー(約795億円)で取得。30年代に複数の超高層ビルを含む施設を開く計画で、総事業費は約5000億円を見込む。
同社は国内の都市開発を得意としてきたが、競争が激化するなか、更なる成長を目指して海外進出を決断。ムンバイを「東京に次ぐ事業地」に選んだ。
地元の大企業が本社を構え、オフィス賃料も東京都心並みに高いことなどから、「日本でやってきたスタイルになじみそうだ」(川原さん)と判断した。







