道交法改正、制度導入の背景と目的
前編では、道交法改正に伴う青切符制度導入の背景と目的を伺った。今回はもう一歩踏み込み、来年4月以降、「街で何が起きるのか?」に関し、できるだけ具体的にお話を伺っていこう。
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):まずは一番気になる部分から伺います。自転車で青切符を切られると、クルマの運転免許証に傷が付くのかどうか。また傷が付くとしたら、点数はどうなるのか。このあたりを詳しく知りたいです。
ズバリ伺います。自転車で青切符を切られた場合、運転免許の点数は付されるのですか?もしそうだったら、点数はどれくらいなのですか。
警察庁交通局交通企画課 理事官 警察庁警視 池田雄一さん(以下、池):まず、自転車の違反そのもので運転免許の点数が付されることはありません。点数制度は運転免許に対する仕組みです。自転車は道交法的に「軽車両」という扱いで、原付でも自動二輪でもありませんから、(自転車の)反則行為で(運転免許の)点数が付されることはありません。
F:安心した……と言ってはいけませんが、少しだけホッとしたというのが正直な気持ちです(笑)。
交通違反で「青切符は“反則金”だからただの違反だけど、赤切符は“罰金”だから罪になる、だから厳密には赤切符をもらうと“前科”ということになる」と聞いたことがあります。これは事実ですか?
池:結論から申し上げると、それは事実です。
青切符(反則金)と赤切符(罰金)の決定的な違い
池:青切符は行政上の手続きです。ですから反則金を納付すれば、それで手続きは完了します。刑事事件としては扱われることはありませんから、前科にはなりません。
一方の赤切符を交付されれば、刑事手続きに入ることになります。警察から検察官へ送致され、検察官が起訴して裁判所で罰金などの刑が確定すれば、刑罰を受けた記録としていわゆる“前科”がつくことになります。
F:青切符で払えば違反は違反だけれど、“前科”がつくことにはならない。けれども赤切符の場合は、裁判所で刑罰が確定した場合は“前科”がつくことになってしまう、ということですね。
池:その通りです。「お金を払う」という行為が同じなので混同されがちですが、反則金はあくまで行政的な措置であり、刑事罰の「罰金」とは性質がまったく異なります。反則金は納付すればその時点で完結し、刑事手続の対象から外れます。ですが罰金刑は、刑事事件としての手続を経て確定する「刑罰」です。
F:「前科」というといきなり凶悪犯のようなイメージですね……。青切符でも反則金をきちんと納めないとどうなりますか?
池:その場合は刑事手続に移行します。
F:うー。厳しいですね。しかし青切符で切られてしまったが、「いや、自分は違反していない」というケースもありますよね。
池:はい、そのような場合は、まず反則金を納付するかどうかで手続きが分かれます。反則金を納付していただければ、行政上の処理としてそれで完結します。
ただし「違反をしていない」とお考えで、反則金を納付されない場合には、刑事手続に移行することになります。その際は通常の刑事事件と同様に、検察官に事件が送致され、起訴されれば、裁判所の判断で処分が決まるという流れです。







