F:つまり、「青切符で終わらせるか、刑事手続に進むか」を自分で選べるわけですね。

池:そうですね。形式的にはそうなります。ただ、青切符の反則金制度は、あくまで軽微な違反を簡易に処理するための仕組みです。現場で反則告知を受けたあとに、どうしても納得がいかないという場合は、その旨を申し出ていただければ手続は刑事手続に進むことになります。その場合、検察官が起訴するかどうか否かを決め、起訴された場合に最終的な判断は裁判所が行うことになります。

※青切符を切られた後は「払えば行政処理」「払わなければ刑事処理」という二択になる。青であっても“争えば赤の土俵”に上がる、というわけだ。制度の目的は裁くことではなく、軽微な違反を現実的に処理して交通秩序を守ることにあるのだが、青切符の場合は無駄な争いは避けて、さっさと反則金を支払ってしまった方が現実的なような気がする。

反則金の金額は?

F:次に気になるのは反則金の金額です。自動車の場合はスピード違反などで速度に応じて細かく金額が決まっていますよね。自転車の場合はどうなるのでしょう。ながらスマホを1万2000円とか、信号無視は6000円とか、違反によって金額が異なるのですか?

池:自動車の反則金制度同様に、違反に応じて金額が異なります。反則金は刑罰ではなく行政上の措置であり、目的は徴収ではなく交通ルールの定着にあります。

F:なるほど。“懲らしめる”ためではなく、“気付かせる”ための金額、ということですね。

池:その通りです。青切符制度は、取り締まりを強化するためではなく、軽微な違反を簡易迅速に処理するための仕組みです。これまでは刑事事件として扱うには軽すぎる、けれど放っておくと危険、というケースが非常に多かったのです。その中間の対応を可能にする制度が自転車の青切符制度、というわけです。

違反をして青切符を切られるとどうなる?

F:実際に自転車で違反をして、おまわりさんに止められたとします。そのとき、現場で切符を切られる流れというか、手続きを教えてください。

池:流れとしては、まず違反の内容を説明し、反則告知書に署名をいただきます。この署名は違反を認めるという内容ですが、その後、違反の成否を争う場合には反則金を納付しないことで、刑事手続に移行できるので、「説明を受けた」ことの確認の意味合いともいえます。

 その後、反則金の納付書が交付され、指定の金融機関などで納付していただく形になります。反則金を納めれば、それで手続きは完了です。前科がつくことはありません。

F:署名というと、違反を認めたような気分になりますが、単なる確認なんですね。

池:そうです。制度上はそういう位置づけです。サインを拒否しても、直ちに罰則が科されるわけではありません。ただし、手続き上の確認が取れないと事務的に時間がかかる場合があります。