どこまでが指導警告で、どこからが検挙になるのか?
F:それでは最後に実際の“線引き”について伺います。制度が始まると、いったいどんなケースで青切符が切られるのか。
ざっくり言うと「どこまでが指導警告で、どこからが検挙になるのか」。ここを具体的に教えてください。
池:基本は、交通事故の原因となるようなにつながる悪質・危険な違反行為です。たとえばながらスマホ、酒気帯び運転など。そういった行為は、本人だけでなく歩行者や他の車両といった他の交通主体にも危険を及ぼします。ですから検挙の対象になります。
一方で、交通量が少なく周囲に危険を及ぼしていないような場面での違反など、悪質・危険な違反に直ちに当たることがないときは、原則として指導や警告を行うこととなります。要は、「危険性」と「悪質性」が高いかどうか。ここが現場の判断基準になります。
F:なるほど。要するに“危ないことをしていれば切られる”という至極当たり前の取り締まりということですね。
池:はい。警察の目的は、取り締まりそのものではなく、事故を防ぐことですから。現場の警察官はまず、指導警告をして終わるケースがほとんどです。
ただ、指導警告をしても改めない、あるいはこれを無視して危険な行為を続けている場合には、検挙を行う。青切符制度はそうした場面でこれまで時間がかかっていた手続が簡易迅速に済むことととなり、お互いの負担が減る仕組みです。
F:従来“見逃されがちだった行為”に対して、ようやく現場で正式に対応できるようになった、ということですか。
池:そうではなく、これまでは赤切符(刑事手続)しかなかった検挙後の手続について、青切符制度が導入されれば、新しい対応の選択肢が生まれるということです。つまり、制度の目的は「厳しくする」ことではなく、「整える」ことなんです。
F:「厳しくする」ではなく「整える」。なるほどそれは確かに大きな変化ですね。ようやくルールが現実に追いついた、という所でしょうか。
池:先にも申し上げましたが、青切符制度は新しい罰を作ったわけではなく、既存のルールをきちんと機能させるための制度です。警察としても、検挙が目的ではなく、まずはルールを守ってもらうことが最優先です。
その上で、どうしても危険を伴う行為に対しては、法に基づいた取締りを行う――それが青切符制度の考え方です。
F:とても良くわかりスッキリしました。今日は長時間ありがとうございました。
一同:ありがとうございました。







