「脳の利用度」が高ければ高いほど、脳によるかかわりが大きくなる。脳が興味をもつような複数のメッセージを提供することで、より多くのプラスの連想が受け手の神経回路に埋め込まれる。
脳に刺激を与える小論文で
難関大学の入試を突破
この法則がどこよりも強く現れる分野が、大学受験である。
少し前に受験に挑んだスティーヴンと彼の両親は、イエール大学に間違いなく合格できるだろうと考えていた。スティーヴンはクラストップの成績で、校内新聞の編集長でありながらサッカーのエース、SAT(編集部注/アメリカの大学進学希望者向けの共通学力試験)のスコアは非常に高く、それに加えて、週末は地元の病院でボランティアをしていた。
なのに、スティーヴンはイエール大学に入学できなかったばかりでなく、アイヴィー・リーグのどの大学にも合格できなかった。
高校の最終学年で同じクラスだったニコラスは、スティーヴンよりもSATのスコアが低くて合格に必要な要素も少ないように思えるのに、いまはイエール大学の「オールドキャンパス」に住んでいる。なぜこうなったのだろうか?
答えは簡単だ。スティーヴンは出願用エッセイにおいて、顕在意識向けアプローチをとった。
自分のソフトウェア開発に対する情熱と、それがどのように社会の役に立つかについて述べ、自分が成し遂げたことのうち最も誇りに思っている内容についても織り交ぜた。彼が優秀な入学志願者である理由についても、これ以上ないほど明確に記されていた。
ニコラスは対照的なアプローチをとった。歴史が大好きなニコラスは、積み重なった連想をもつ豊かな経験を出願用エッセイにしたためた。エッセイには、彼自身が生き生きと描写されていた。
同じく歴史好きな祖母との特別な関係や、初めての海外旅行について書かれたエッセイは、ニコラスが歴史上の偉人を感じながら歩いたヨーロッパの名所旧跡へと読み手をいざなった。
歴史上の人物がよみがえり、神聖な建造物で声がこだまして、ニコラスの心を揺さぶる教訓と助言を与える。







