最終利益1兆円!ソニーはなぜ好業績なのか
規模の大小、歴史の長短を問わず、企業は環境の変化に適応して自己変革を行う必要がある。過去の成功体験に固執したり、現状維持の心理が高まったりすると、経営危機に陥るものだ。
近年のソニーは競争力を発揮できる分野に経営資源を再配分することで自己変革し、収益力を上げてきた。具体的な業績を確認すると、金融事業を除く最終利益は2022年度が8181億円、23年度は8966億円、24年度は1兆674億円と大きく伸ばしている。
まず、注目すべきは事業領域が拡大していることだ。プレイステーションを筆頭とするゲーム&ネットワークサービス、音楽や映画といったコンテンツ(ソフトウエア)の収益が、イメージセンサー、テレビやデジタル一眼カメラなどハードウエア分野を上回るようになった。これは、1990年から2012年ごろまでのソニーの状況とは明らかに異なる。
さらに注目すべき点は、景気の変動の影響を受けづらい収益体制を確立しつつあることだ。トランプ政権の発足をきっかけに、米国では低所得層の個人消費が鈍化した。中国の景気も減速している。
それでも、ソニーのコンテンツ事業の収益は増えている。それは、魅力的なコンテンツを創出するのもさることながら、サブスクリプション(継続課金)モデルを確立し、イベントを開催してファンが集いやすいマーケティングを行うなど、消費者のニーズに耳を傾けてきた結果であろう。
映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の世界的ヒットもそうだ。北米市場では2週連続、週末興行収入首位を獲得している。中国でも同作の前売りチケット売上高が1億5000万元(約32億円)を超えたと報じられている。







